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最後の忠臣蔵

先週末「ミューズの晩餐」を拝見致しました。「100年経っても残る、名作映画と映画音楽」をテーマに名作映画にまつわるエピソードや初めて明かされる裏舞台の真実を紹介する番組です。そして作品のテーマ曲を川井郁子さんのバイオリン演奏で聴くことが出来るとてもおいしい番組でした。名作の秘話に触れることで作品に対する違う視点が生まれ改めて鑑賞し直してみたくなります。

最後の忠臣蔵.jpg 前売り券

個人的には本年劇場で鑑賞する最後の時代劇作品「最後の忠臣蔵」を紹介します。忠臣蔵と言えば年末ともなると毎年必ずTVで特番が組まれる国民的ドラマでありますが私の記憶に残るTVで見た忠臣蔵は浅野内匠頭を風間杜夫、吉良上野介を森繁久弥、大石内蔵助を里見浩太郎が演じたシリーズでしたので随分昔の話になりますがこの時も泣けましたね~。本作は忠臣蔵のその後の物語でありますが主君への忠義心が終始一貫された骨格はそのままに、忠臣蔵のアナザーストーリーながら続編の名に恥じない内容に仕上がっています。赤穂浪士といえば47士でありますが本来は48士となるべき男であった瀬尾孫左衛門(せのおまござえもん)が内蔵助より密命を受け、討ち入りメンバーから外れます。以後孫左衛門は姿を消し、人に悟られることなく忠義を全うする生き様が描かれています。

吉良邸討ち入りで伝搬役として一部始終を目撃した寺坂吉右衛門(てらさかきちえもん)は討ち入りの生き証人の命を受け、生き延びて16年間、世間から蔑まれ、死ぬことも許されず、屈辱感を味わいながら遺族を見舞う旅をする。ある日商人の名門「茶屋」を訪問した際偶然にも浪士間で無二の親友であった孫左衛門を見かけ尾行、自宅を訪問すると理由も言わず吉右衛門に切りかかる孫左衛門に動揺する。無二の親友であるが故に納得が行かない吉右衛門は切り合いの途中で身を隠した孫左衛門に経緯や心情を語りかけるが返答はなかった。孫左衛門は人里離れた隠れ家で一人娘を育てていました。娘は可音(かね)といって16歳。読み書き、教養を嗜ませる教育を施し気品を兼ね備えた立派な女性に成長すると共に、恋心を隠しきれない多感な時期でもありました。二人で人形浄瑠璃を鑑賞に出かけた際、茶屋家の跡取りである若旦那に見染められる一方、茶屋の主人らと同席していた吉右衛門の姿を見かけた孫左衛門は上演半ばで劇場を出てしまう。孫左衛門は武士である身分をひた隠し、骨董商人として生計を立てていたが名門である茶屋を可音の教育担当である島原の元太夫であった ゆう に紹介状をもらい接見の機会を得る。商談の縁で茶屋家の大旦那四郎次郎(しろうじろう)から商売柄情報の人脈を持つ孫左衛門にある女性を探して欲しいとの相談を受けるがその女性とは一人娘の可音本人のことであった。

可音を演じた桜庭ななみの存在が本作の切ないドラマの希望としてとても輝いて見えました。現在とは価値観がまったく違う世界の話ですが忠義に生きた武士 孫左衛門を理解しようとする可音の健気さ、凛々しさを見事演じてくれました。「義理と人情を秤(はかり)にかけりゃ、義理が重たい男の世界」と歌にもありますが愛する可音は勿論、主君への忠義どちらも重んじ、人の為に生きた孫左衛門の人生は個人的に幸せだったのだろうか?あの時代、境遇にあったとは言え、現在を生きる者には真似の出来ない生き方です。作品に登場する人形浄瑠璃「曽根崎心中」は当時流行って実際に心中が起きてしまうほど人気を博す風潮だったそうですが時代が変われば変わるものなんですね。本年も忠臣蔵の話題がTVで報じられていますが俳優もその都度引き継がれ100年経っても残る物語であると思います。

監督:杉田 成道
脚本:田中 陽造
撮影監督:長沼 六男
美術監督:西岡 善信
衣装デザイナー:黒澤 和子
キャスト
瀬尾孫左衛門(役所広司)、寺坂吉右衛門(佐藤浩市)、可音(桜庭ななみ)、大石内蔵助(片岡仁左衛門)、茶屋四郎次郎(笈田ヨシ)、ゆう(安田成美)
2010年日本映画
上映時間:2時間13分

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