SSブログ

ノルウェイの森

先週は仕事がピークを迎え、辛い一週間でした。少ない人員の交替勤務で消化しきれないほどの仕事量と途切れることのない作業。作業指示書は100件あれば全部指示内容が異なる上に難解で確認、また確認の連続。製品に張り付ける伝票は発行が追い付かず遅れ気味でどんどん高く積み上がる未完成製品の山。締め切りは待ってくれませんので焦りと緊張の連続、しかも深夜業務。集中している時の電話、外来にも応じなければならず、自分の作業に戻ってからあれ?さっきまで何やっていたんだっけ?とまあ、リカバリーに時間がかかるタイトな日々が続きました。いや~、えらいところに回されてしまったなぁ~。でもあと一週間の我慢!と思っていましたら、もう一カ月延長して欲しいと打診されました。そんな矢先、ある情報で手術のため会社を休んでいるここの職場の社員が退院後パチンコをする姿を見かけたと耳打ちされました。「ぬぁんだと~!」頭に血が上った瞬間でありましたが今は一日も早く職場復帰を願う今日この頃です。

ノルウェイの森大.jpg 前売り券

今や世界に愛される村上春樹原作の映画化「ノルウェイの森」を紹介します。映像化困難と言われたこの作品の世界観をベトナム系フランス人のトラン・アン・ユン監督が日本人俳優を起用し、日本語で完成させました。私はこの監督さんの作品は本作が初めてですが外国人監督でありながら違和感を感じさせない手腕に監督が相当な原作ファンであることを痛感致しました。1967年当時の学生運動など社会背景、ファッション、車、建築など見事に再現されているこだわり、原作の繊細なシーンの表現を鏡を利用して描く等々独自性も感じさせる心配りに脱帽です。日本在住の監督さんかと思っていたのですがフランスの監督さんと知ってびっくりです。エンディングのテロップでは日本語名の文字の下に英文が加えられるグローバル作品である点からも制作者のマーケット戦略が伺えます。

この作品は一言で片づけてしまうと主人公ワタナベの辛く切ない青春物語ですが本作は愛について、死について、生きることについて問いかけられる普遍的テーマが背景に存在し、単純な青春ドラマで片付けられない懐の深さ、広さを併せ持っています。特筆する要素として当時としてはタブー視されていた女性が性の問題について公に語り出した時期であったこと。心では愛しているのに体が反応しないなどの赤裸々な事情が明かされている点にあります。人には言えなかった性の悩みについて語られるシーンは愛することと性について考えさせられるほどインパクトがあります。それとワタナベとミドリの会話のキャッチボールが洗練されていて面白かったですね。監督さんが脚本も書いているようですが絶妙です。場所をわきまえずストレートな質問をするミドリに不思議な魅力を感じました。

「ノルウェイの森」は1987年の初版発行時期に読んだ記憶がありますが内容はまるっきり覚えていませんでした。当時は職場の空き部屋に誰が寄贈したのか西村寿行の文庫本が全巻並んでいてブームになっていました。私も「魔の牙」を紹介されて寿行ファンになった訳ですが紹介してくれた寿行フリークの先輩が濃い口の寿行読んじゃうと物足りない感じはするけどこれも面白いよと薦めてくれたのが「ノルウェイの森」でした。あれから23年経過した現在劇場で鑑賞しながら登場人物を思い出し、物語をトレースしながら鑑賞していましたが面白いというよりも惹きつけられる、そんな作品です。こんなドラマを想像する村上春樹ってすごいと思います。映像化が困難と言えば切り口は似ていますが夏目漱石の「こころ」もそのひとつだと思います。

監督・脚本:トラン・アン・ユン
原作:村上春樹
キャスト
ワタナベ(松山ケンイチ)、直子(菊地凛子)、ミドリ(水原希子)、キズキ(高良健吾)、レイコ(霧島れいか)
上映時間:2時間13分

新作映画・試写会ブログランキング参加用リンク一覧 "にほんブログ村 映画ブログ" へご案内、push please! 


nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:映画

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

最後の忠臣蔵ロビン・フッド ブログトップ

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。