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ゲゲゲの女房

昨年の今頃三浦でみかん狩りを楽しみましたが今年も同じ行事に参加しました。一年の経過を早いと実感出来ることは裏返せば充実していると自分自身思います。バドミントンで汗かいて、映画鑑賞して、登山して、旅に出てと好きなことしかやっていませんから・・・。

ゲゲゲの女房.jpg フライヤー

TVでも放送された「ゲゲゲの女房」を紹介します。TVシリーズは松下奈緒がヒロインを演じ、紅白の司会者に抜擢されるなど人気のほどが伺える作品であることは明らかです。が、私は一度も見ていません。ですから人気作品をかじっておきたいという好奇心で鑑賞してみました。タイトルの「ゲゲゲ・・・」という響きを聴いただけで漫画家水木しげるの奥さんの物語であることは容易に想像が着きました。「ゲゲゲ・・・」と言ったら鬼太郎以外思い付きません、そのくらいインパクトあるタイトルです。TVシリーズと比べ映画版は短時間で起承転結を表現しなければならない制約から様々なエピソードが割愛されていると思います。この物語は漫画家水木しげるのもとに嫁いだ奥さんの目線で描かれた今だからこそ笑って話せる自叙伝です。映画版では水木しげる役を宮藤官九郎、奥さんの布枝役を吹石一恵が演じています。TVシリーズの情報はゼロですから比較と言う色眼鏡なしで考えてこのキャスティングは良いと思いました。

布枝の実家での会話シーンに神在月(かみありづき)と出てきますがこの言葉は島根県特有のものです。今で言う10月のことですが日本中の神様が島根県に集まることに由来しています。島根県以外の都道府県は神無月(かんなづき)ですからちょっと新鮮に聞えました。でこの時期にお見合いの話が持ち上がり戦争で片腕を失ってしまったが恩給が支給され給料も安定、悪い縁談ではないと家族会議で決定。布枝は東京の水木しげるの家に嫁ぐことになります。ところが現実は正反対で恩給はしげるの両親に支払われていて肝心の収入は原稿料のみ、しかも原稿料は漫画の暗さから人気が無く、まともに貰えません、結果質入れを繰り返し家計をやりくりする貧乏暮らしです。女性が社会進出を果たすのはもっと後の時代ですからこの切迫した有様に動揺を隠せない布枝の心境はただ事ではありません。しかも、二階に間借りしている金内(かねない)という男が同居していますがこの男も精彩を欠き家賃を滞納している始末。

またしげるも無愛想で気の効いた会話も無く、淡々と漫画を描き続けるスタンス。新婚生活の夢と希望は現実の前にもろくも崩れ去ります。お米が無いと相談するとしげるはさっきまで聴いていたレコードプレイヤーを質入れに出かけます。電気は止められ、ろうそくで部屋の灯りを代用する。食事も食パンの耳がおかずとあっては今の時代であれば即離婚ということになるのでしょう。しかし、この状況を辛抱強く、夢を信じ夫婦で乗り越えて来たからこそ、この物語には夢を実現させるプロセスとしての説得力があります。貧乏でも命は取られない、お金はあるうちに使った方が良いとしげるは笑い飛ばします。しげるが信じて頑なに描き続けている漫画は実在しない妖怪変化、それ以外のジャンルには一切関わらないポリシーです。我ままを言ってられない状況なのに依頼の仕事を断ってしまうしげるに絶望感を感じながらも出来上がった原稿を編集者に届けたり、原稿製作でベタヌリの手伝いをする、ある時は貸本屋で自作漫画の人気を気にかけて見たりなど関わり合ううちに布枝もこの漫画はいつか世間に認められる時が来る!と希望を見出します。そんな二人を暖かく見守っていたのは神様でも仏様でもない愉快な妖怪たちだったのです。

夫婦が離婚せず貧乏を克服出来たことの理由として共に向き合いながら、助け合いながら二人三脚でひたむきに夢を信じたからに他なりません。ある時、貧乏に耐えきれなくて姉の家に身を寄せた布枝でしたがこんな時でもしげるは迎えに行きます。貧乏暮らしで不憫な思いをさせていることは重々承知していますからしげるの出来ることといえば愛情を注ぐことだけです。ひとつのことを淡々と日々こなし、夢を信じて疑わない。こんなしげるの姿に布枝も共鳴し、今がある。ラジオ番組で川井郁子さんのハートストリングスに「多くのことをへたにやるよりも少しのことをうまくやる方がよい」というソクラテスの言葉がありましたが水木しげるはこれを実践したひとりだと思います。この言葉を今の自分に置き換えた場合、まったく当てはまりませんので「これが私なのだ」と開き直るしかありません。

監督・共同脚本:鈴木卓璽
脚本:大石三知子
キャスト
武良茂:水木しげる(宮藤官九郎)、武良布枝(吹石一恵)、金内志郎(村上淳)
主題歌:ゲゲゲの女房のうた(ムーンライダーズ、小島麻由美)
2010年日本映画
上映時間:1時間59分

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