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レオニー

去る1日は今年一番の幸せな一日でした。ヴァイオリニスト川井郁子さんのコンサートが横浜の関内ホールで開催され、ナマ川井郁子さんに出会えたこと、素晴らしい演奏が聴けたこと、CDにサインをしてもらったこと、握手をして頂いたことなどなどもう有頂天でした(もう、お子ちゃま)。ヴァイオリンの演奏というとクラシックコンサートのイメージだったのですが川井郁子さんの場合はちと違うんです。クラシックというよりもイージーリスニング的?要素も感じられ静かな中に動があり、激しい中にも静がある。静と動、これは対極の妙であり、単にメリハリというだけでなく魂と共鳴するかのような響きなんです。それにしてもヴァイオリンという楽器は凄いです(演奏する川井郁子さんがすごいのだと思いますが・・・)、小さな楽器でありながら囁くような、語りかけるような音色が聴こえたかと思えば激情に駆られたかのようなエモーショナルな語り部もこなす。人の心情を表現するのに一番適した楽器のように思います。ピアノとチェロのハーモニーも良かったです。トークも弾み、横浜のポルテで学生時代アルバイトをしていたことや娘さんのお話、影響を受けたアーティストのお話などラジオで聴く声と同じ声(当たり前ですが)に感動!運良く席も舞台から数えて3番目、しかも中央でしたので川井郁子さんが目の前に!いや~、最高です。1日をもって私もリピーターの一人に加えさせて頂きました。そうそう、毎週土曜日テレビ東京系22時30分から「ミューズの晩餐」という映画番組にも出演なさっていることや番組収録にまつわる裏話も聴かせて頂いたので早速チェックです。

レオニー.jpg 前売り券

彫刻家イサム・ノグチを育てた母親の生涯を描いた物語「レオニー」を紹介します。平凡な人生は退屈、人生の幸せは最後に解ると言い放つレオニーは己の道を自ら切り開いて行くタイプであり当時の女性としては先進的で冒険心を秘めた、人材発掘のプロデューサーだったのかもしれません。しかし、彼女は時代に翻弄され波乱の人生を歩むことになります。彼女の生涯をどう思うかは鑑賞者にゆだねられていますが後のイサム・ノグチが大きく影響を受けた一人であることは間違いありません。イサムという名前からアニメにもなった川崎のぼる作品の「荒野の少年イサム」を思い出しますがイサム・ノグチと関連性があるか否かは定かではありません。

舞台は現在を遡ること100年、まだ日本が国に対する差別は日常的で女性の社会的地位も確立されていない時代。名門大学を卒業しニューヨークで教鞭をとりつつ編集者の夢を描くレオニーは編集者募集広告を見つけ日本の青年詩人ヨネ・ノグチ(野口米次郎)と出会います。日本人であるがゆえにアメリカでその才能が認められない野口が脚光を浴びることになる立役者となったレオニーは野口と恋に落ち、新しい命を宿します。しかし、野口は懐妊を受け容れられず一方的に帰国、レオニーはシングルマザーの道を余儀なくされ失意の元母親の故郷で出産を決意します。ある日レオニーは野口から届くようになった日本への誘いの手紙により母親の制止を振り切り日本に行く決心をします。

言葉も文化も違う日本に到着すると、子供は野口から勇(イサム)と命名されます。日々の生活に戸惑いながらも野口の計らいで三名の生徒を抱え英語教師を務めるレオニーでしたが日常留守がちな野口に衝撃の事実が発覚。別居後月日は経過し学校に通うようになったイサムは差別の風潮にさらされ不登校となっていました。レオニーはそんなイサムの為に家を立てる決心をし、設計をイサムに任せます。するとイサムは母を喜ばせようと富士山が一望出来る丸窓をサプライズします。レオニーが息子のイサムに類まれな才能を発見した瞬間でした。

この作品を鑑賞して思ったのは女流監督の手腕の素晴らしさです。外国の女優が主役という邦画作品は私の知る限り数えるほどしかありませんが女性ならではの視点や表現がハリウッド作品と見紛うほどの完成度の高さです。クリント・イーストウッド監督が日本俳優を主役にした「硫黄島からの手紙」の逆バージョンであり字幕を戸田奈津子が担当するなど話題性も含め日米コラボの見事な結実で新鮮に感じました。今後注目して行きたい監督さんです。うれしかったのは英語で演じる場面を見たことのない日本の俳優さんが英語で演技していること、いずれは常識になるであろうことが予想されますがまだまだ過程の段階です。色々チャレンジし、がんばって貰いたいですね。今作は有名な彫刻家イサム・ノグチの誕生秘話から生まれたのだと思いますが人・もの・事象などトータルして新しいものが生まれる背景には光と影、正義と悪、戦争と平和、男と女といった対極が存在します。つまり物事の原点は対極なのではないか?川井郁子さんのコンサートとこの作品を同時期に鑑賞してそんなことを考えていました。

監督・製作・脚本:松井 久子
キャスト
レオニー・ギルモア(エミリー・モーティマー)、野口米次郎/ヨネ・ノグチ(中村獅童)、津田梅子(原田美枝子)、小泉セツ(竹下景子)
2010年日本・アメリカ合作映画
上映時間:2時間12分

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