SSブログ

「三島由紀夫vs東大全共闘~50年目の真実~」

アメリカの黒人男性死亡事件に端を発した大規模デモは、世界に飛び火して、再び人種問題が叫ばれています。デモは権利ですが、便乗した略奪行為、破壊行為、暴力行為を行使してしまっては何のためのデモなのか考えてしまいます


三島由紀夫.jpg


1969年東大駒場キャンパス900番教室で開催された東大全共闘と作家三島由紀夫さんの討論会記録映像が世に公開される四章構成のドキュメンタリー。「右翼(保守派)三島由紀夫vs左翼(革新派)東大全共闘」の図式は、のっけから対決の様相を呈しており緊張感が走ります。警察の警護を断り、本人一人で乗り込んだ討論会の行方は?


1960年代の学生運動は、テレビの普及に伴い反戦運動など世界的に波及していた時代。メディアの報道がなければ、知られなかったであろうこの討論会はTBSのみが保管する貴重映像で、当時三島由紀夫さんと討論を交わした学生たちが証言者として、また親交のあった著名人が作家 三島由紀夫の人物像について語りますが、一度視聴しただけではすぐに理解が出来ない一連の発言について時代背景やイデオロギー、三島由紀夫さんの著書などを交え誤解を招かないよう補完されています。


会場に貼られた討論会ポスターは、ゲスト(三島由紀夫)をゴリラと形容し、飼育料100円と記された挑発的なものでした。私も三島由紀夫さんのイメージについては、明確なものはなく、ただ過激な作家というだけでした。なのでこれから、バトルでもはじまるのか?と一瞬脳裏をよぎりましたがいざ、討論が始まると意外にも飾らなくて、ユーモアがあって、人間味あふれる語り口調なものですから作家 三島由紀夫を論破し、尚且つ ぶっとばしてやろうと息巻いていた学生たちの意図は大きく外された格好です。


司会進行に則り、意思表明を行うと容赦ない学生からの意見に対し、ひとつひとつ真摯に向きあい応答します。討論会と言うひとつのテーブルでお互いがまず理解し合うというスタンスに三島由紀夫さんの人間性、やさしさが見え隠れします。この一年後に自決してしまうのだと思うと、とても悔やまれました。生きるということを持続してほしかった!


結果的にはモヤモヤしていた三島由紀夫さんのイメージも晴れ上がり、くせはあるけど憎めない人でした。討論会の結末は書きませんが想像付きますよね(笑)


監督:豊島 圭介


三島由紀夫、芥 正彦、木村 修、橋爪 大三郎、篠原 裕、宮澤 章友、原 昭弘、椎根和、清水 寛、小川 邦雄、平野 啓一郎、内田 樹、小熊 英二、瀬戸内寂聴


ナビゲーター:東出 昌大


新作映画・試写会ブログランキング参加用リンク一覧

nice!(34)  コメント(2) 
共通テーマ:映画

nice! 34

コメント 2

ぼんぼちぼちぼち

この作品、小屋は横浜でやすよね。
先日チラシは入手したんでやすが、今はまだ県を越えてはいけないので、観に行くのやめやした。
確か、部分的にはYouTubeで観られやすね。
by ぼんぼちぼちぼち (2020-06-11 13:49) 

einstein

ぼんぼちさん、コメントをありがとうございます
緊急事態宣言が解除されたとはいえ、劇場へどうぞというのも現段階では気兼ねいたします
ぼんぼちさんのご都合でお楽しみください(笑)
by einstein (2020-06-15 02:23) 

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。