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「ソロモンの偽証」

今回は、前売り発売の段階から気になっていた作品の感想です。

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作品は、宮部 みゆき原作の同名小説映画化超大作「ソロモンの偽証」です。前売り段階で注目したことは、劇場CMを観た限りですが、中学の同級生死亡事故が、ある生徒からの告発文により他殺であったという証言に基づき、自殺であったのか、他殺であったのかを中学生自らが裁判で真実を見極めるというドラマが2部作で上映されることです。裁判というものはそれ相応の事態が起きない限り、多くの方たちにとってはメディア世界での出来事だと思います。実際に裁判ともなれば大人にとっても一大事でありまして、心身共に膨大なエネルギーを消耗します(勿論経済的な負担も含みます)。それを中学生が?しかも、二部作!「大丈夫なの?茶番にならない?」これが正直な気持ちでした。不安と期待、半分半分で鑑賞してみますと「何これ!スゴイ!」。理屈抜きで、体が反応しちゃいました!この作品は「後編から鑑賞しても楽しめます」みたいな、やわな作り方はされていませんから絶対に前篇からの鑑賞をお奨めします!

この作品の何がすごかったのか?整理してみたいと思います。まず、如何にして中学生たちが裁判を行うに至ったのかが明確で、且つ詳細に描かれているので説得力があります。そして、裁判への参加要請に対しても普通ならば誰しもが口を閉ざし、気にはしていても関わりたくないという心理が支配的になりがちですが、それを覆す動機付けが見事です。特に犯人と目される生徒に出廷を促すシーンは大きな見せ場となっています。そして、本題の死亡事故が単なる事故ではなく、いくつもの伏線が絡み合っている複雑さ、話の進行に伴い登場する人物たちも、後編で何かをやらかしてくれそうな謎を秘め、期待感を煽ります。目を留めるのが、オーディションで選ばれた新鋭33名の生徒たちの演技力です。今回出演する前までは鑑賞者側であったなんてとても思えません。主役を演じた藤野 涼子ちゃんは役名も藤野 涼子って、これもスゴイ!裁判はまだ、開廷しておりません。しかし、ここまでたっぷりと時間を掛けたことは本番を前にした事前説明のようで大正解でした。乗ってしまった船は途中からは引き返せません。ヘビーでディープな前篇は見応え十分です。

これで後編へのお膳立ては整いました。前篇2時間弱、恐らく後編も2時間強と推測ですが合計4時間超えです。これが仮に1本にまとまった作品であったとしても一気に鑑賞出来てしまいそうな期待が本作の鑑賞で生まれました。この作品は、このまま行けば成島監督の最高傑作になると思います。今は、後編が待ちきれないという心境です。

作品を鑑賞していて、実際にあった痛ましい川崎の生徒殺人事件が頭に浮かびました。報道で大人が口々になぜ助けてやることが出来なかったのかとインタビューで答えていた姿が印象的でしたが、劇中でいじめを目撃しながらもそれを避けて通ろうとする学級委員の涼子に対し「いじめを見て見ぬふりをするのは偽善者だ」と生前の生徒から批判されるシーンがあります。これ、2回出てきます。劇中では彼女は批判され、自分自身をも責めてしまいます。しかし、これは非常に難しい問題で大人ならば彼女を責めることは出来ません。なぜなら子供は大人の、或いは社会を映す鏡だからです。そんなことを考えてしまいました。

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監督:成島 出
脚本:真辺 克彦
原作:宮部 みゆき

キャスト
藤野 涼子(藤野 涼子)、神原 和彦(板垣 瑞生)、三宅 樹理(石井 杏奈)、大出 俊次(清水 尋也)、藤野 剛(佐々木 蔵之介)、藤野 邦子(夏川 結衣)、三宅 未来(永作 博美)、津崎 正男(小日向 文世)、森内 恵美子(黒木 華)、中原 涼子(尾野 真千子)他

2015年日本映画
上映時間:2時間1分

ソロモンの偽証2.jpg

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先日3月9日は、「記念切手が初めて発売された日」 とニッポン放送のカッキーこと垣花アナがラジオで教えてくれました。私もたまたま郵便局へ封書配達の依頼に出掛けていたのですが、窓口ではいつものおねえさんが、封書を受け付けてくれて、引き換えにこれどうぞと記念切手の来年度の発売予定表をくださいました。本来4月が、記念切手発売の年度変わりなのでいつも4月に入ってから頂いていたのですが、この早めの気配りはちょっとうれしくなりました。感謝です!


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